Bike

「天空のストラーダ」に登場するバイク解説
By OSABOW

NO.02
KAWASAKI 650RS (W3)

DOHCマルチエンジンに刃向かうOHVバーチカルツインエンジン

‘80年代前後のバイクは猛烈な勢いでパワーと速さを競う時代だった。伝統や文化なんて言葉は、革新やテクノロジーという言葉に駆逐され、最新モデルが一番えらく、それがバイク乗りの自慢だった。

W3はそんな社会背景のなかで置き去りにされたバイクだ。OHVバーチカルツインは過去のもので、最新のDOHCマルチに刃向かいたくても、その居場所はほとんどなかった。

しかし、その片方でW3を支える絶対崇拝者も生まれた。その中心が小洒落た二十代のバイク乗りで、速さではない独自のバイク観があった。彼らはカッ飛ぶマルチ軍団を横目に、ドッドッドッと颯爽と青山通りや原宿近辺を走っていた。彼らにとってバイクはファッションの一部で、自分のライフスタイルを象徴するアイテムとして進化させ、W3独特の世界を築いていった。

そして、W3は若者のファッションにとっても欠かせない存在となり、カフェレーサーやチョッパーの素材として絶対的なポジションを確保することになる。バイク乗りのウェアも洒落ていた。表参道や原宿には彼らがデザインした革ジャンやボトム、そして貴金属も目につくようになった。

W3というバイクは彼らにとって、もはや走るだけの道具ではなかった。 そんな事情、そんな流行は、ぼくでさえ肌で感じていたが、その仲間入りする気は微塵もなかった

  • KAWASAKI 650RS (W3)

    転載:カワサキモータースジャパン

  • KAWASAKI 650RS (W3)

    転載:カワサキモータースジャパン

バイクに乗るというより、バイクを着る感覚でW3と付き合う

そんな追憶はさておき、W3に乗っていた頃の印象を簡単に述べると、とにかくエンジンの振動が凄まじいバイク。このひと言に尽きる。ぼくがまだ十代の頃の印象だから、いま乗れば異なると思うが、若さゆえにW3の魅力を探るまでもなく、その気もさらさらなく手放した。W3とは約半年ほどの短い付き合いだった。

渋滞する都内ばかりを走っていたから、W3にとっては最悪の交通事情だ。それを思うと、もっとツーリングにでていたら印象も変わり、ひょっとしたら手放すこともなかったと思う。

フロントはダブルディスク。その制動力よりフロントヘビーの印象が強かった。Uターンするときもそれがネックで、取り回しは良くなかった。コーナリング性能も当時の最新モデルと比較するほうが馬鹿馬鹿しくなるほど鈍感で、コーナリングを楽しむ印象はなかった。

何度も言うようで気が引けるが、エンジンの振動は凄まじい。がしかし、大地を隆起させそうなトルク感は同爆ツインの最大の魅力で、若造だったぼくにもこの魅力はわかっていたつもりだ。ミッションは4速リターン。たったの4速だ。それに馴れるまでは、さらにシフトペダルをアップさせていた。そのトルクをうまく使えるアクセルワークができれば、4速でも十分と後でわかった。

W3で泣かされたのが電気系統だ。防水性の悪いプラグキャップは、当時のバイクの共通したウィークポイントだが、それでも雨の日にキックスタートするのが不安でならなかった。そして、始末に悪いのがポイントカバー内に溜まってしまう水滴。これには本当に泣かされた。そのためミスファイヤーでプラグがかぶり、ぼくはいつも予備のプラグを積んでいた。

W3のウィークポイントを羅列してどうしたいのか……。そう問われても仕方はないのだが、バイク乗りのフィロソフィーとは、そんな側面もあるということだ。いくら悪口を並べても、バイクに対する理由なき愛情というものがバイク乗りには潜んでいるということ。

 ‘70〜‘80年代のバイクがブームのようだ。ご多分に漏れずW3のファンも急増しているようだ。それはそれで大変結構なことだ。若者やバイク初心者さんもW3を買って、想定外の苦楽をしながらW3のリアルな世界を体感してもらいたい。苦労してもそれが無駄じゃないことがわかるはずだ。 そして、W3が愛しく思えるようになったら、それが優しい男、そして女になった証拠だ。

<主要諸元>

エンジン型式:空冷直列OHV2気筒

排気量:624cc

最高出力:47PS

最大トルク:5.4kgf-m

エンジン始動方式:キックスタート

ミッション:4速リターン

タンク容量:15L

発売年/当時発売価格:1973年 / 36万3.000円

プロフィール

OSABOW(オサボウ)

東京・世田谷生まれ。幼少期から父親の影響でバイクとクルマに興味をもつ。月刊ベストバイク、月刊ライダースクラブ、月刊クラブマン等のバイク雑誌編集長を経験。バイク雑誌に限らずゴルフ雑誌など数多くの男性誌編集長を歴任。その創作活動は広範囲に及び広告制作・宣伝プロモーションも手掛ける。現在、執筆と企画制作プロデューサーとして活躍中。

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